第74話

唇を離すと顔を真っ赤にして、私の頭を撫でる圭さん。


「凪咲さん、ここ外だからね」


「えっ!?あ…」


スーツを来た人や買い物袋を持った人が目のやり場に困って小走りで通り過ぎる。


「凪咲って、時々大胆になるよな」


「ごめん…」


「いや、たまには良いけど。場所は今度から選んでな」


「は、はい!」


圭さんと私の部屋に来て、ドアを開けると

玄関にはズラっとダンボールが並ぶ。


「ただいまー…」


「凪咲の荷物こんだけ?光輝さんのは」


「明日光輝のご両親が取りに来る事になってて部屋にまとめてある」


「そうか…」


「何か飲む?そんなに言う程いろんな物はないけど…」


「ホットココア。マシュマロ入の」


「え?それって…」


「凪咲のお気に入り、俺も飲んでみたいつーか」


「うん!そういえばいつもいれてくれるけど、圭さんは飲まないもんね」


ダンボールの中から、ココアの素を取り出してマグカップに入れる。


沸騰させたポットからお湯を注いで出来上がり。


「お待たせいたしましたー」


「匂いが甘い」


「文句言うならあげないですよ」


「冗談だって」


圭さんは私からマグカップを取るとすぐに飲む。


「美味い」


「でしょ!美味しいんだよねー。

本当は牛乳入れるといいんだけど…今はないから」


圭さんは立ち上がってベランダから外を見る。

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