第73話
片付けを終わらせて、スーパーで買い物した帰り道。
私を送ると言って来てくれた圭さん。
新しい家から今の家までは歩けない距離じゃない為、2人で夜道を歩く。
「つーか、凪咲。ドレッシングとか紅茶といろんな種類買いすぎ。1つに絞れよ」
「だってその日の気分とかがあるんだもん」
「ったく。冷蔵庫もっと大きいのにすれば良かったか?」
ブツブツと言う圭さんの手を握り、足を止める。
「圭さん、1つお願いがあるんだけど…」
「凪咲が?珍しい。
んで何?」
「今日、今の私の家に泊まってくれないかな?」
「え?どうした?」
「だ、だって明日引越しだし…荷物とかいろいろその…」
私の震える言葉を見越した圭さんの手が頭にあたる。
「嘘が下手かよ。
いいよ、1人じゃ不安なんだろ?
光輝さんとの思い出があるあの家で最後に一人でいるのが辛いんだよな?」
「うん…。ごめん」
「なんで謝んの?」
「だって、圭さんに悪くて…こんな急に」
圭さんは、何を今更とでも言いたそうな顔で、
「俺、そう言われるんじゃねーかなーって思ってたから。気にすんな」
この人はどこまで優しいのだろう。
どうして私を好きになってくれたのだろう…。
「圭さんっ!」
圭さんに抱きつき、その場で背伸びをして自分の唇を重ねる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます