第72話

「わー!広いしいい眺めだね」


一緒に住もうと決めてから1ヶ月。

今日は先に引越しした圭さんのお手伝い。


「凪咲、感動してるところわりーけど手伝ってな」


「はいはいー」


圭さんに頼まれた小さなダンボールの中身を整理する事に。


マグカップとか食器類が多い。


「凪咲は、明日引越しするんだよな?用意終わってんの?」


「うん、一応ね。楽しみだなーここで暮らすの」


「本当に楽しみか?」


圭さんの質問に手が止まり、ゆっくりと圭さんの方を見る。


「楽しみですよ」


「そっか」


「圭さんと一緒にいると安心します。

だから今度はそういう気持ちを共有できたら…」


私が話している途中に圭さんが後ろから抱きしめる。


「けっ…」


「俺も安心するよ、凪咲がいてくれると」


「あの、顔みたいんですけど…」


「それは無理」


「何故!?」


「見せられねーほど情けない顔してっから」


圭さんは立ち上がって冷蔵庫に向かう。

私に背中を向けたまま声をかける。


「何か飲むか?」


「炭酸系がいいなー。何がある?」


「コーラがあるけど。それでいい?」


「うん!コップ用意するね」


ダンボールから取り出したコップを台所の流し台で洗う。


「後でスーパーとか買い出しに行くか。

凪咲の必要な物買いに」


「うん、行く!

じゃあ片付け頑張るね」

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