第67話

「寧ろ…お付き合いし始めた」


「えっ!?そうなの!どんな人?」


「どんな…最初は光輝と顔も口調も似てて気になっているだけだと思ってた。

だけど、不器用で優しくて…光輝の事を好きな私のままで良いって言ってくれた人なの」


「そんな器のでかい人いるの?」


唖然としているお母さんの問いに、私は頭を上下に振る。


「申し訳なくて外そうとした光輝から貰った指輪も外すなって言ってくれた」


正直私でも圭さんの器の大きさには尊敬というか、凄いとしか言えない。

流石のお父さんも驚いて新聞を床に落とすほど。


「一緒に暮らしているの?」


「ううん、まだ全然だよ!


今日来たのは、私の近況報告で…心配かけさせちゃったから。ごめんね」


お母さんは立ち上がって私の横に来て抱きしめてくれた。


「心配するのは当たり前でしょ!大事な娘なんだから!そんなの凪咲は気にしなくていいの」


「お母さん…」


抱きしめてくれたお母さんのぬくもりを感じたのは久しぶりで涙がポタポタと落ちていく。


「今度はその彼氏さんと一緒に来なさい。

ご馳走作るから」


「うんっ!」


「ね、お父さん」


「あ、あぁ」


お父さんも照れくさそうに応える。


「うん、今度連れてくるね」

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