進み出す時計

第66話

「ただいま…」


今日は久しぶりに実家に帰ってきた。

光輝の一件から中々帰れずにいたからかなり久しぶりだ。


「凪咲っ」


お母さんがいつもと同じようにスリッパをパタパタさせながら廊下を走ってきてくれた。


「ただいま。ごめんね、中々帰れなくて」


「いいのよ。気持ちの整理出来ないことあるからね」


「もう大丈夫だよ」


玄関から上がり、リビングに行くとお父さんが新聞を広げて座っていた。


「ただいま」


「あ、あぁ」


お父さんは1度こちらを見てからすぐに新聞の方を見る。

それも昔からの癖で、干渉はしないものの一応は気にかけてくれているらしい。


「お茶いれるわね」


「ありがとう。あのね、これシュークリーム買ってきたの」


「あら、ありがとう。ここの有名じゃない!」


「うん。お母さんもお父さんもシュークリーム好きでしょ?」


「うん、大好き。ね、お父さん」


お父さんを見ると新聞がカサっと音がしたから恐らく頷いたのだろう。


お茶の用意をして、椅子に座ってお母さんと向き合う。


「それでどうしたの?急に帰ってくるなんて」


「私ね、光輝を失ってから絶対恋愛とが出来ないだろうなって思ってた。だって、あんなに大好きだったから」


だけど、圭さんと出会った。

また誰かを好きになった。


「好きな人出来たのね?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る