第63話

夕飯も食べて、見たい映画も見れて大満足の金曜日の夜。仕事終わりになんて贅沢をしているんだ。


夕飯の時にお酒を少し飲んだ為か、ちょっと鼻歌歌いたくなるほどテンションが上がっている自分がいた。


「凪咲、お前大丈夫か?酔ってる?」


圭さんが私の背中を摩る。


「大丈夫ですよー」


「その変な笑い、大丈夫じゃねーな」


いつもは気を張っているからか、ここまでふわふわした気持ちにはならない。

きっと一緒にいるのが圭さんだからか、安心して気が緩んでいるのだろう。


「少しそこで休むか」


海が見えて、クルーズ船も見える階段に腰をかける。


「圭さん、今日もありがとうございます…

楽しかったです」


「ん。俺も楽しかった」


座った瞬間、圭さんがペットボトルの水を渡してくれる


「ありがとう…」


「酔いが覚めました?」


「風と水で少しずつ治ってきました」


ふーっと息を吐く。


「落ち着いたなら何より」


2人で夜景を見ながら笑い合うと私の左手に圭さんの手が重なる。


「凪咲、付き合おうか」


「私も言おうとしてた」


「マジか!言ってもらえば良かった」


クシャクシャと頭を搔く圭さん。

私は彼の右耳に耳打ちをする。


「つ、付き合ってください…」


恥ずかしくて震える声で言い切り離れると、私の方を見て顔を赤くする圭さん。


「は?何それ…可愛すぎだろ」


「いやいや全然」


私の左頬に圭さんの手が触れて、だんだん顔が近くなり唇が重なる。

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