第60話

「いらっしゃいー!」


店内のドアが開き、ドアの方を見ると百瀬さんと藤原さんが立っていた。


この状況で何故?タイミング悪い…


私の様子が変だったことに気づいた山口さんは、ドアの方を見る。


「百瀬さん、藤原さん!お疲れ様です!」


声掛けたー!!


「お。矢島さんに山口ちゃん。そこ一緒していー?」


私と山口さんが座っていたところは4人席用だから座れなくない。


「いいですよー!

ね、矢島さん」


「う、うん。即答する前に1度聞いて欲しかった…」


藤原さんは山口さんの隣に座り、案の定百瀬さんは私の隣に座る。


「凪咲、何頼んだ?」


座るとすぐにメニューを見る百瀬さんに尋ねられる。


「えっと、鯖の味噌煮定食…」


「じゃあ俺もそれにすっかなー」


私とのやり取りを微笑ましく正面から見ている山口さんと藤原さん。


恥ずかしくなって百瀬さんと反対側の壁を見る。


「藤原決まった?」


「ん?あーじゃあ、豚カツ定食」


「おー。すみませんー


鯖の味噌煮定食と豚カツ定食1つずつで」


「畏まりました」


頼み終わると一瞬静かになるこの席。


「凪咲は何で壁の方見てんの?」


「いや、あの…別に」


「壁なんか見ても面白くねーだろ」


百瀬さんに右肩を掴まれて、百瀬さんの方を向かされる。


「あ…」


目が合うと嬉しいけど、ドキドキ心臓の音がうるさい。


「百瀬さん、矢島さんとお付き合いしてるって事で良いんですよね?」


「あ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る