第58話

「一緒にいたいです!百瀬さんと」


私がそう言い切ると百瀬さんは口元に手を当てて下を向く。


「え?あれ?百瀬、さん」


「いや、想像以上に嬉しいというか…

その顔が破壊力やばいというか…」


「え!?どの顔ですか!?」


百瀬さんの手が私の左頬まで伸びる。


「凪咲、めっちゃ好き」


ニカッと悪戯な子供っぽく笑う百瀬さんを見て顔がどんどん熱くなるほど恥ずかしくなった。


「わ、わかりました!ありがとうございます!」


「ん。とりあえず帰るか」


百瀬さんはポケットから財布を取り出す。


「いいですよ!百瀬さんは何も食べてないじゃないですか!」


「いいから。ちゃっかり長瀬さんお金も置かずに帰りやがったから」


「そういえば、確かに…」


サラッと帰ってしまったような。


「じゃあここは払うから2つお願いあんだけど聞いてくれる?」


「私が出来ることなら…」


何だろ。難しい事とかだったらどうしよう…高いものとか?


私が考え込んでると百瀬さんは察したのか、右手を横に振る。


「あのさ、そんなに深く考え込まないでくれる?」


「すみません、身構えてしまって」


「いや普通に、下の名前で呼んで欲しいのと敬語やめてくんない?」


「あーなるほどわかりし…えっ!?」


「じゃあ今日からそういうことで、よろしく」


百瀬さんは伝票を持って立ち上がって先に行ってしまう。

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