第57話

長瀬さんが立ち上がると同時に個室の暖簾が上がる。

そこで現れたのは、


「百瀬さん!?え、今の聞いて…」


「まぁな。つーか、口は悪いは余計だ」


「まぁまぁ細かいことは気にしないで。

後は2人でちゃんと話なよ!

凪咲ちゃん、何かあったらいつでも連絡してね」


「はい!ありがとうございます」


長瀬さんはウィンクすると私たちの前から去っていく。


2人残され少し気まずい空気が流れる。


「あの、百瀬さんは何でここに?」


「あー…長瀬さんからここにメールで呼ばれただけ。凪咲の一大事だって言うから来たんだけど」


テーブルに肘をついて、深いため息をしつつ暖簾の方を見る百瀬さん。


「私の一大事だから来てくれたんですか?」


「他の奴だったらぜってー行ってない。明日も仕事あるつーのに」


サラッと嬉しいことを言ってくれる百瀬さんに、キュンっと胸がなる。


「百瀬さん…」


「凪咲。ケジメとかつけなくていいから…

それやられると一生何も言われなさそうだから聞くけど。


今、凪咲はどうしたい?誰といたい?」


「…私は」

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