第54話

~凪咲side


午後の仕事をしていたら、課長から広報部にこの書類を届けて欲しいと頼まれ、仕事が一段落着いたので2階の広報部に向かう。


エレベーターが3階に着いたところでドアが開くと、さっきの綺麗な女の人が立っていた。


「あっ…」


思わず声が漏れると彼女も驚いた顔をしてエレベーターに乗り込む。


「1階で大丈夫でしょうか?」


「あなた、百瀬くんが元彼氏と似てるから好きなの?」


「えっ!?」


なんで似てること知ってるの?


「誤解しないでね。百瀬くんから聞いたわけじゃないから」


「はい…。

あの、あなたは…」


「私は百瀬くんの高校時代の元カノ」


最初に出会った時のふわふわ感がない気が。

どっちかというと刺々しいような…。


私が2階で降りようとすると彼女に呼び止められる。


「ねぇ、仕事終わったら時間ある?」


「えっ!?まぁ…」


あるけど。この人めちゃくちゃ怖い。

でも断るのも違う気がする。


「どっち!?」


「時間あります!」


「じゃあ終わったらこれに電話して」


彼女に名刺を渡され受け取ると彼女は扉を閉めて降りていく。


「百瀬さんの元カノ…

長瀬、花梨さん」


名刺を名刺ケースに入れてポケットにしまい、そのまま広報部に行く。

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