第44話
「挨拶って…何でですか?」
「いや、深い意味は無いというか…一言言いたいとか」
「???」
一緒に行くと言い張る百瀬さん。
何を光輝に言いたいかはよくわからないけど、でもお墓参りに1人で行くのも心細かったし、有難い事には変わりない。
「一緒に行ってくれますか?」
「おぅ、任せろ」
「ありがとうございます」
こうして百瀬さんと土曜日に光輝のお墓参りに行くことになった。
土曜日は百瀬さんと待ち合わせしている場所に行く前に花屋で予約していたお花を持って向かう。
いつも1人でお墓参りに行っていたから、心做しか前よりも足が軽い気がする。
待ち合わせ場所には、スーツをきた百瀬さん。
「お待たせ致しました」
「おぉ。はよっ
じゃあ案内して」
「はい!」
電車に乗り、2つ先の駅で降りてバスに乗る。
バスから20分で下車し、当たりを見渡す百瀬さん。
「ここ…」
「光輝の地元です。和ですよね…」
「あぁ。初めて来た」
「私も最初来た時はあまりにも暖かくて静かで、こんな所あったんだーって思いました」
「だよな。いいな、ここら辺…安心する感じ」
百瀬さんがいつもよりも少し口角を上げて笑っていた。
そのまま辺りを見ながらのんびりと歩いていたら、光輝が眠っている墓地に着いた。
私は水汲みをして、百瀬さんに案内する。
【工藤家之墓】と書かれているお墓にはお花と光輝の好きな焼き菓子が置かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます