忘れられない一日

第43話

「えっ?今週の土曜日ですか?

ごめんなさい、その日は予定がありまして」


これはある日の昼休憩。

偶然社内食堂で百瀬さんと一緒になってお出かけのお誘いを受ける。


だけどその日は、光輝のお墓参りに行って光輝の実家でお線香をあげようと予定している日。


忙しくて命日には行けなかったから、少しずらして土曜日にしたのだ。


「そっか…」


「何かありました?」


「こないだ観たいって言ってた映画のチケット貰ったから行こうかと」


「え!?ありがとうございます!

でも、すみません」


「いや、別にいいよ。


土曜日の予定って急に決まった?」


「いえ。元々、決めていましたけど?」


「そっか…他の誰かが口説いてきたのかと思った…」


ボソッと言った百瀬さんの声は聞こえなかった。


「何か言いました?」


聞き返してもはぐらかされてしまい、何も聞けなかった。


「でも本当にすみません、土曜日は…とても大事な用事でして」


「あの人に会いにいくとか?」


「えぇ!?」


時々百瀬さんはエスパーなんじゃないかと思う。


「図星か…」


私は土曜日の予定を百瀬さんに話すと百瀬さんはただ頷いて聞いていた。


「お墓参り、俺も行っていい?」


「え!?なんでですか!?」


「いや普通に挨拶したいだけ。お線香

をあげにいくのは流石に行けないから」

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