第36話

お昼に山口さんが好きな定食屋に行くと、お酒を飲んでいるわけじゃないのに1人で熱く語り始めた。


「それで!「お前ら言い過ぎ。あと、俺がお前らに興味を持つこと一生ねぇから」って言ってその場がシーンってなったんですよ!もうカッコよかったですよ!!百瀬さん」


「う、うん…わかったよ」


私は山口さんを落ち着かせようとゆっくり話す。


「それにその後私へのフォローをしてくれて、1人にならないように藤原さんを残してくれて…

本当に神みたいな人ですよ!!」


「うん、うん。わかったから」


「私、百瀬さんと矢島さんがくっついて欲しいです」


山口さんの有り得ない言葉に飲んでいた水を吹き出しそうになる。


「えっ!?何言ってるの?」


「美男美女だし…百瀬さんなら、矢島さんを守ってくれそうと言いますか…」


きっと山口さんなりに私を気遣ってくれているから出る言葉なのだろう。


「百瀬さんは確かにいい人だと思う。

だけど、あくまで恋愛対象とかじゃない」


「それは…」


眉を下ろして悲しそうな顔をする山口さんは途中で話すのをやめる。


「お昼食べよ、山口さんオススメの定食屋さん嬉しいなー」


この話をしないよう、話を変えると山口さんはそれ以上何も言わなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る