強引な人

第25話

— — — — —


初めて光輝と出会ったのは、友達に頼まれて数合わせで行った合コンだった。


「はぁ…」


数合わせで来たから乗り気じゃないし、そんな私相手だとつまらないよね。


友達はいい感じになった人と仲良く話してたりしていて、全然こちらを構ってくれる気配はない。

私も邪魔したくないしな…。


そろそろ帰ろうかな。

携帯の時計を見て立ち上がろうとしたら私の目の前に「悪い、ここいい?」と言って座った影。


「えっと…」


「あ、俺は工藤光輝。ちなみに今は警察学校に通ってる」


「はい…」


「あんたは、矢島凪咲さん…だっけ?」


「はい!あの、呼び捨てでいいです!

私の方が年下なので」


「あっそ。その方が気楽でいいわ」


目の前にあったビールを一気に飲み干して、おかわりする人。

そんでもって、口悪っ…。


「あんた、人数合わせで来たっしょ?」


餃子を口に入れながら私に質問してくる。


「まぁ、そうですけど…」


「やっぱりな。俺も人数合わせで来た。

あんためっちゃつまらなさそうな顔してんだからわかる」


「え!?す、すみません」


自分の顔を手で抑えて謝る。

初めて会った方にそんな不快な思いさせてたなんて申し訳ない。


「なんか、落ち着いたところで飲み直さね?」


「はい…」


何でかわからなかったけど、光輝のその自由な性格が私にはとても心地良かった。

だからなのか、あの時すぐに即答出来たんだと思う。

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