第21話
「ふん、さっき聞こえた好きな人が百瀬くんに似てるとかさ、言ってたけど。
だったらその好きな人の所に行けって話」
「媚びすぎて超ウザイ」
「お前らうるせ…」
いい加減怒りのピークに達した俺が言い返そうとした瞬間、ガタンと音がして彼女が立ち上がっていた。「ごめん、山口さんちょっと御手洗」と言って席を離れた。
「絶対あれトイレで泣いてるよねー」
「早く帰ればいいのに」
「お前ら言い過ぎ。あと、俺がお前らに興味を持つこと一生ねぇから」
俺がそう言うとその場がシーンと静かになる。そんな空気を藤原が変えようとした瞬間、少し離れた席にいた宣伝部の女性がこちらに来る。
「私、友人の1人に矢島さんと同じ大学の子がいるんだけど…。
矢島さん、その子達と大学時代に合コンに行って警察官の彼氏出来て5年ぐらい付き合ってたんだって。
それでね、5年記念日の日に彼が殉職したって」
「え…」
あまりにも突然聞かされた彼女の過去の出来事。
さすがの先程騒いでいた女達も黙り込む。
「一時期誰とも連絡取れないほど引きこもったらしくて。今は大丈夫そう?って時々友人から連絡来るぐらいなの。
さすがにさっきのは言い過ぎだって思ったからつい…」
彼女はそう言ってすぐに自分の席に戻る。
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