心の傷~side百瀬

第19話

歓送迎会に来たのは、経理部の彼女に会って謝りたかったから。


もしかしたらあの時、俺の態度が最悪だったのかもしれないと思ったから。


居酒屋に藤原と一緒に行くと、端っこの方に彼女は座っていて思わず「あっ!」と声が出た。

俺の声に反応した彼女は気まずそうな顔してすぐに逸らす。


俺は構わずズカズカ歩き彼女の前の席に座る。

座ると同時に嫌そうな顔で彼女は口を開く。


「え、なんで?」


その問いに対して答えようとした瞬間、最近言い寄ってくる受付チームに声をかけられる。


「百瀬くん、藤原くんーこっち来てよ」


俺はこういったヤツらは苦手というか嫌いで、それを知っている同期の藤原が「ごめんね、また後で」と爽やかに返す。


そのすぐ後、俺は彼女にずっと聞きたかった事を尋ねる。


「こないだ、俺何かした?」


「こないだとは…いつの」


ここまで来てしらを切る彼女は素直に凄いと思ったが同時にイラッときた。


「あ!?あんたと会話したのはこないだの申請書の時だけだろ!」


「はい、そうでしたね」


「ったく、その後嘘ついていなくなるしよ。

何なんだってーの」


「ごめんなさい…」


言いたい放題いつものクセで言ってしまったが、彼女は申し訳なさそな顔をして、謝ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る