第10話
ピンポン。
久しぶりに家のチャイムが鳴り、インターフォンを取ると見覚えのある顔だった。
「こんにちは…」
「突然ごめんなさいね、凪咲ちゃんだったわよね?」
「はい…」
光輝のお母様とお父様だった。
お葬式で会ったのが初めてで、今日は2回目だ。
家に招き入れると、お母様は話しかけてくれるけどもお父様は1度も口を開いてくれない。
「今日は、いかがされましたか?」
「凪咲ちゃんがちゃんとご飯食べてたりするかなーって確認と、光輝がどんな所で凪咲ちゃんと暮らしていたのか見たくなっちゃって」
無理して作った笑顔、少し涙が混じった声は震えていて、私もつられて泣きそうになった。
「ここが寝室で、こっちが光輝がよくにらめっこしていたパソコンスペースの仕事部屋で、よくここで珈琲を飲みながら調べ物をしてて…」
いろんな光輝の面影を思い出し、涙を流す。
「ごめんなさい…」そう言うと、光輝のお母様は私の隣に来て背中を摩る。
「大丈夫よ。ごめんなさいね、私も思い出させる事を聞いてしまって…」
「いえ…」
「光輝から聞いていたの、
今度会わせたい人がいるからって。
とても大切な自分の宝物だって言ってたわ…
ありがとう、光輝の傍にいてくれて…
あの子はとても幸せだったと思うわ」
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