1歩前に進むこと
第9話
あれから何度泣いたのだろう。
ご飯も食べれない、帰ってこない彼をいつまで待ち続けているのだろう。
お葬式が終わってもまだ私は現実を受け止められないでいた。
何度もあの出来事は夢で、きっと目を覚ましたらいつも通りに帰ってくるのだろう、そう信じて何度も何度も目を閉じて眠ろうとする。
ブーブー…
仕事も辞めて、誰との連絡も遮断している。
ずっとバイブだけがなり続けていた。
「光輝…」
彼が私に渡そうとしてくれていた指輪をはめて呆然と見つめる。
「私もこのまま何も食べずにいれば…このまま光輝の所へ行けるかな?」
— 「アホか!ご飯を食べないとか無理なダイエットすんな!」
「あっ…」
前に1度ダイエットをしようとした時に止められたことを思い出した。
私はゆっくり立ち上がって冷蔵庫に向かい扉を開けると光輝は柄にもなく甘党で大好きなプリンが残ったままだった。
「賞味期限、とっくに切れてる」
— 「このプリン、もし間違えて食べたら買ってこいよ」
それぐらいお気に入りのプリンだったんだよね。
プリンを捨てるために流し台で中身と容器を分ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます