1歩前に進むこと

第9話

あれから何度泣いたのだろう。

ご飯も食べれない、帰ってこない彼をいつまで待ち続けているのだろう。


お葬式が終わってもまだ私は現実を受け止められないでいた。


何度もあの出来事は夢で、きっと目を覚ましたらいつも通りに帰ってくるのだろう、そう信じて何度も何度も目を閉じて眠ろうとする。



ブーブー…


仕事も辞めて、誰との連絡も遮断している。

ずっとバイブだけがなり続けていた。


「光輝…」


彼が私に渡そうとしてくれていた指輪をはめて呆然と見つめる。


「私もこのまま何も食べずにいれば…このまま光輝の所へ行けるかな?」


— 「アホか!ご飯を食べないとか無理なダイエットすんな!」


「あっ…」


前に1度ダイエットをしようとした時に止められたことを思い出した。


私はゆっくり立ち上がって冷蔵庫に向かい扉を開けると光輝は柄にもなく甘党で大好きなプリンが残ったままだった。


「賞味期限、とっくに切れてる」


— 「このプリン、もし間違えて食べたら買ってこいよ」


それぐらいお気に入りのプリンだったんだよね。

プリンを捨てるために流し台で中身と容器を分ける。

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