第8話

平井警部補さんに渡されたのは、赤いリボンがかかった白くて小さな箱。


「なに…?」


リボンを解いて箱を開けるとそこには、ダイヤが小さくいくつも入っているシルバーの指輪。


「え…?」


指輪を見た瞬間、今朝の光輝とのやり取りを思い出す。


— 凪咲、大事な話あっから絶対遅れんなよ


本当にプロポーズをしようとしてくれていたのかもしれない。

サプライズとか苦手なくせに、そういうお店に行くのも苦手なはずなのに…。


光輝が恥ずかしそうに指輪を選んで買ってくれたんだと目を閉じて想像する。


きっといろんなサイトやお店を見て選んでくれたんだろう。


「光輝…」



私はその日、世界で一番大好きで、大好きで仕方がない人を亡くした。


そして、外を出ることが出来ず働くことも出来ず2ヶ月を過ごした。

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