終幕
そうして、妖精の国での宴から帰ってくると、頭の上に被っていた蓮の華の帽子は、四角いプレゼントボックスに変わっていました。
リボンをほどいて蓋を開けると、中には君と妖精達にしか見えない、素敵な素敵な贈り物が入っています。
君は妖精達からもらったプレゼントを大事に大事に両手の中に抱きしめて、一生の宝物にしましたとさ。
「――めでたし、めでたし。さあ、絵本はこれでおしまいよ」
最後のページを閉じると、絵本の裏表紙が見えた。
そこには、子供の小さな両手と、その中から溢れる優しい光のイラストが描いてある。
それまで前のめりになって、じっと読み聞かせに耳を澄ませ、絵本の中のキャラクター達の賑やかな光景に釘付けになっていた女の子は。
満面の笑みで、目の前の苺の妖精に、つたない拍手を送っていた。
読み聞かせを終えたベルは、その艷やかな赤い頭をこくん、と下げてお辞儀する。
「聞いてくれてありがとう。楽しんでくれたなら、私も嬉しいわ」
明日はどのお話にしましょうか。
と、女の子にたずねながら閉じた絵本を抱えて本棚へ戻すベル。
幼い少女はベルが本を戻しやすいように、本棚に指を引っ掛けて隙間を作ってやる。
次はねー、と舌足らずな声で、迷うように女の子がきょろきょろと本棚を眺めていた。
――これは、どこにでも、誰にでも起こりうる妖精達との日常の一ページ。
耳を澄ませてごらん。
風に混じって、あなたに語りかける声が聞こえる。
目を凝らしてごらん。
木の葉の影に隠れるようにして、君をそっと覗き込んでいるのが見える。
彼らは妖精たち。
いつも私達のそばにいて、いつでも私達の手助けをしてくれる。
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