15-5

「今日はゴムしたけど、お客さんつく時はゴムないけん」



涼しい顔でコンドームを外しながら、男が言った。



『え!ないんですか?!』



うがいをしつつ、私は半分叫ぶ様に言った。



「生の口内発射が基本やね。お客さんが発射したら、席に箱ティッシュあるからそれに出して台の下のゴミ箱に捨てて。ティッシュに出す時は、お客さんに見えん様にね」


『…お風呂なしで拭いただけで生ですか…』



考えが甘いと言われそうだけど、それはどうしても抵抗があった。


悠人くんでさえ、シャワー浴びてからじゃなきゃ嫌だった。

だから会う日は必ずお互いお風呂を済ませてからみたいな、暗黙の決まりがあった。



「うん。この辺りの店はみんなそうやないかいな?ゴムフェラすんのは、多分ボッタクリの店くらいばい」


『ボッタクリ…?』


「7000円で抜けま~す!って客引いて来て、いざ入ったら手コキだけ!みたいな。ゴムフェラでいくら、生ならいくらって女の子が交渉して上乗せしてく店」


『怖い人が出て来るやつですか…』


「出て来る店もある。まぁ今はだいぶ厳しいけんね。…どう?出来そう?」


『……』


「無理か?」


『ちょっと…衛生面に抵抗が…』


「そっか~じゃあしょうがない、あとはランパブとセクキャバやね、うちにあるのは」



案外あっさり引き下がったから、ほっとした。

せっかく?講習はしたけど、ちょっと私には出来そうにない…



『普通のキャバクラは…』


「キャバクラは言うほど稼げんばい。ビジュアルと喋りが勝負やし」



私が黙ると、男は慌てて言った。



「いや、ビジュアルが悪いとは思わんよ?あんま喋るの得意やなさそうやけんさ」



まぁ、どっちから見ても不向きってことか…

自分がいかにこの業界を甘く見ていたかを痛感した。



『…ランパブとセクキャバってどう違うんですか?』


「ランパブは、キャバクラの服装が下着。お触りとかはなし。セクキャバは衣装は店によりけり…うちはノーブラにYシャツ1枚やね。こっちはキスとお触りはあり」


『セクキャバの方が…お給料いいんですよねやっぱり…』


「当然!」



とりあえずこの両者も、お店を見せてもらうことにした。

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