14-4

店内は小さく有線が流れている。



《♪青い空と雲~太陽つかまえんぞ~……》



この曲ひまわりって曲だよね…

なんで春なのに、ひまわり?


どうでもいいことを考えながら、なんとなく男を観察した。



茶髪、雑誌でチラッと見たオラオラ系とかいうのがこんな感じだった様な…


思ったよりカジュアル。

スカウトってみんな、スーツ着てるのかと思ってた。



『スカウトの人って、みんなスーツ着てるのかと思ってました…』


「ああ、やけん最初変な顔しとったったいね!今は条例とか厳しいけん、スーツ着てやる人はあんまおらんっちゃないかいな。目立つけんね」


『そうですか…』



「あ、これね…」



男がペンで示した先にはA、B、C、Dとあり、バック◯◯円…などと書いてある。



「ざっくり分けたら、給料はこの4体型やね。基本飲んで稼ぐのはAやね」


『はい』


「ただ、Aは日払いが1日5000円までったい。残りは月2回の給料日に支払い。Bは1日1万までで、残りはAと同じ」


『CとDは…?』


「CとDは基本日払いやね」



手持ちのお金は少ないし、日払いがいいな…



『B、C、Dはどんな仕事なんですか?』


「ん~まぁ誰にでも出来る仕事やね!Dはちょっときついかな…まぁ寮もあるし、衣装も無料のがたくさんあるし、とりあえずどんな感じか店見てみらん?」


『はい』



とりあえず見てみなきゃ分からない。

私は男について行くことにして、すっかり冷たくなった680円のココアを一気飲みして立ち上がった。


そして行った先には、田舎者の私には想像のつかない世界が広がっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る