14-3

『仕事って、どんなのですか?』


「クラブ、キャバクラ…いろいろあるばい」


『寮とかありますか?』


「あるよ~!ワンルームマンション借り上げとるから、綺麗ばい!」


『すぐ入れますか?』


「働くなら入れるばい!食いつくねぇ…ちょっと話だけでも聞いてみん?聞くだけタダやし!」


『はい…』



そして移動したのは、なんか高そうな喫茶店。

てっきり事務所みたいな所に連れて行かれると思っていた私は、拍子抜けした。


喫茶店で面接って、普通なのかな…



「何飲む?」


『え?!いえ、私は…』



ココアが680円?!

地元の喫茶店では、400円しないくらいで飲めたのに…



「奢るけん、なんか頼み」


『え?!』


「大丈夫、経費で落ちるけん」


『……ホットココア…』



そんなにお金に困ってる様に見えたのだろうかと、少し恥ずかしくなった。



しばらくしてスカウトの男の携帯が鳴り、彼は席を外した。

その間、私はずっと店のメニューを眺めていた。






ココアが少し冷めた頃、男が席に戻って来た。



「ごめん!あ、飲んでて良かったんに…」


『はぁ…』


「そんじゃ、話、しようか」


『はい』


「仕事探しとる感じ?」


『はい…』


「どんな仕事探しとる?」


『まだよく分からなくて…』


「あ、未経験なんや?」


『はい』


「う~ん…なんか希望はあると?さっき寮のこと言っとったけど、あとは給料がこれくらいとか、託児所とか…」


『家が無いので、寮に入りたいです。あとは、出来れば日払い出来るとこ…』


「そっかそっか~」



男は、内ポケットから何やら紙切れを取り出した。

そして、そのチラシらしき紙切れの裏に何やら書き始めた。

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