14-2

ネットカフェで目を覚ましたのは、お昼過ぎだった。

うたた寝程度しか眠れなかったけど、ずっと起きてるよりはマシだろう。


あれから朝からネットカフェに入り、少し調べ物をしてから眠った。

身体があちこち痛い。



同じ様に身ひとつで歓楽街に出て来て働き始めた人のブログを、決意を固めてから読み始めていた。

最初から、少しずつ。


そのブロガーの初日の行動と、私の昨夜からの行動がほとんど同じ。

何も分からない私からしたら、こんな風にマニュアルの様なものがあるのは有難かった。


ネットカフェなんて思いつきもしなかったから、着いたらその日のうちに仕事決めなきゃ家がない!とか考えていた。

どこまでも、頭が堅い。



どうしようかな…


夕方になり、とりあえずネットカフェを出る。

キャリーを預けて身軽になった体で、昨夜の歓楽街に出てみた。



求人誌を見ても、どれがいいのか、これは本当なのか?って感じで全く分からない。

決められない。


とりあえず、ブロガーさんみたいに私も、スカウトの人の話を聞いてみようかな…



いったん引き返して時間を潰し、昨夜より少し早いくらいの時間に歓楽街に戻る。


ノロノロ、ブラブラ…

キョロキョロしながら歩いていたら、早速男に声をかけられた。



「お姉さんお姉さん!」



振り返ると、黒の上下を着た茶髪の男。


何これ、ナンパ?

ちょっと怖い…



「あ、ごめんナンパじゃないばい!キョロキョロしとるけん気になって。今からお仕事?」



見た目のいかつさに反した甲高い声と気さくな話し方に、私は立ち止まった。



『仕事は…してないです。探してます』


「マージか!紹介出来るけど、話だけ聞いてみらん?」



待ってました…!

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