14. 歓楽街

14-1

目的の駅に着いたのは、1時間ほどしてから。

駅の人に道を聞き、地下鉄に乗った。


そして初めて来たかの有名な歓楽街は、「ここが?」と驚くほど小さかった。



その小さな通りを、とりあえずゆっくり往復してみる。


キャリーを引いたままだから目立つのか、やたらと声をかけられる。

スカウトっぽいけど、今日は一旦スルー。



コンビニに入ると夜職専用の求人雑誌があったからとりあえずそれを買い、ファーストフードに入った。


さすがは歓楽街、いかにもって感じの人たちがいっぱい。

そしてそれに紛れて時々、私の様な地味な人がパラパラといる感じ。


早速、買った雑誌を開いた。



日払い可!

寮・託児所有!

日給保証1万円以上!

入店祝い金5万円支給!



似た様な文字が、あちこちに踊る。

本当にこんなにもらえるのかな…


業種については、一応さらっと調べたからなんとなく分かる。

けど、お給料だけじゃどれがどれか分からない…


ソフトサービスのお店?

ソフトサービスって何?


疑問には思ったけど、この時はまだ深く考えていなかった。



やっぱり、ネットで探した方がいいのかな…

仕方なく、携帯の電源を入れた。


着信、留守電、メール…通知がいくつか来ていたけど、それらを一切見ない様にしてブラウザを開く。


メモったり、検索したり…そんなことをしながら、どうにか朝方まで時間をつぶした。



これからは夜起きてなきゃいけないから、昼間に寝なきゃ!なんていう、単純な思考からだった。

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