12-5
「そうなんか?」
叔父は、私を見た。
私は、首を左右に激しく振った。
『衣装なんか買っとらん。そんなん、店の倉庫やったとこ探してもあるわけない。探せばわかる』
すると叔母が、すかさず言った。
「もとが安もんやったり、流行りがあると売れんけんって処分したやない?」
『私は知らん…』
「売れるもんは売ってお金にしようって、一緒に売りに行ったやない?」
確かにまさに今日、売れる物は売りに行った。
でもそれは私が貴女に言った台詞で、売った物は全て貴女が買ったブランド品じゃないか。
『私が借金したんは、叔母さんが返済出来んくなったけんやん!お金借りて欲しいって私に頭下げたの忘れたと?!』
「なんで私が、そげなお願いをせないかんとね?私の借金はあんたのを返すためにしてやったとやないね…」
今日ブランド品を売りに行った帰り、すっかりしょげ返っていた叔母。
叔父に話す件は最後まで拒否していたけど、私は強行した。
だけどあんなに項垂れていた叔母が、いけしゃあしゃあとこんな嘘をつくとは思いもしなかった。
計算違いだ…
『叔母さん…叔父さんに正直に言いにくいんは分かるけど、もうちゃんと話そう?2人じゃもうどげんもならんとよ…』
「何を言うね、嘘ついとるのはあんたやないね」
叔母は息を吐く様に嘘を重ねていく。
埒があかない。
そして彼女は、決して私とは目を合わせようとしない。
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