12. 決行の日

12-1

21になった、春のある日。



『叔母さん…要らんブランド物とか売りに行かん?少しはお金になるっちゃない?』



私は叔母に、そう持ちかけた。


店を閉めてからも、昼間は不在が多かった叔母。

今思えば、金策に奔走していたんだろう。


私が協力する様になってからは、昼間はほとんどうちにいる様になった。

返済用のお金が入ると、少し目を離すとそれを持って夜には出掛けてしまう。

バイトに行ってる間は、気が気じゃなかった。



「要らんもんとかそんなになかもんねぇ…」


『いっぱい持っとっても、いっぺんに全部使えるわけやないし、気に入った物だけいくつかとっていて…』


「うん…」



私は売ってお金になる物を、何も持ち合わせていない。

だが叔母には、おそらく使っていないブランド物がたくさんあるだろうと思った。


叔母は見栄っ張りだ。

自分が借金背負ってお金に困ってるなんて、絶対知り合いには知られたくないだろう。


だからこんなになってもまだ着飾ろう、人に奢ろうという気持ちのままなのだ。



おまけに、お金がないと言いながら、店を閉めてからは働きに出る気配もない。

さすがに私も、イライラし始めた。


ちょっとは自分も損害を背負ってもらいたいし、もう少し身なりや生活だって慎ましやかにするべきだ。

働きたくないなら、せめて贅沢品を金に替えろ。

そして返済に回せよ。


…そんな気分だった。



そして2人で入ったのは、もともと紗弥加の部屋だった場所。

この頃には紗弥加は彼氏の家にばかりいて、ほとんど帰って来ていなかった。


ウォークインクローゼットの、奥の上の方。

脚立に乗った叔母が、よっこらしょと下ろした衣装ケース3つ。

その中身を見て、私は唖然とした。

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