11-5
返済が追いつかないと実感し始めた頃から、私は隣町の居酒屋でバイトを始めた。
工場が終わった足で居酒屋に向かい、1時頃まで働いた。
そして帰宅して、寝るのは3時頃。
6時に起きて食事を作り、仕事に出かける生活。
日々の返済を乗り切るのに、精一杯。
おそらく、ほとんどは利息だったんだろう。
払っても払っても、元金は減らない。
そんな中、性懲りもなく叔母がまたネット広告から申し込みをすると言いだした。
いつもは私が電話するのを、横でハイエナの様に見ているだけ。
なのにこの時に限って、叔母自身が電話すると…
私も、もう完璧に麻痺していたと思う。
その月の支払いに回せるお金を作るのに、とにかく必死。
今すぐお金が必要。
先のことなんて、もはや考えていなかった。
そしてそこでの融資は、予想通りすぐに断られた。
その後もう1件、叔母が電話。
審査が通り、少額ではあったけど融資が決まった。
私の年収を多少上乗せ申告していたのが、少し気になった。
借金専用に作った私名義の口座に、振り込まれた現金。
それを全額おろしてきた叔母は、そのうちのいくらかを今からすぐ振り込みしなきゃならないと言う。
「お礼せんといかんけん」
『お礼て何の?誰に?』
「教えてくれた人」
広告から電話で申し込み、融資を断られた1件目の業者。
その業者が「ここなら借りられるから」と、次に申し込んだ業者を教えてくれたという。
その紹介料を振り込まなきゃならないと言うのだ。
前に叔母自身も、同じ様な会社にお世話になったことがあるらしい。
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