11-4
そして始まった、坂道を転がり落ちるかの様な日々。
無人契約機の後は、銀行のカードローン。
その後は、私が仕事に行っている間に叔母が業者を探す日々。
私が帰宅してから、あるいは休日に、融資を受けるための電話をする。
ネットからも、即日融資の業者に申し込んだ。
契約社員でそんなに収入はないのに、最初は少額だがアッサリ審査が降りた。
だけど当然上手くいっていたのは最初だけで、だんだんあちこちで融資を断られる様になっていった。
ここまで本当に、あっという間だった。
それでも、叔母はどうやって探していたのか、貸してくれる業者を次々と見つけて来た。
そしてものの2ヶ月くらいで、すぐにまともな返済が出来なくなった。
恐ろしいスピードで、一気に借金が膨れ上がった。
返済のために新たにお金を借りる、いわゆる自転車操業。
早い段階で私の少ない貯金を崩せば、まだ間に合ったのかな。
だけど悠人くんと暮らす夢をまだ捨てられなかった私は、それを返済に回すことをしなかったのだ。
結局それが自分の首を絞めることになるとは、微塵も思っていなかった。
もう20歳になったんだし、とりあえず貯まったお金だけ持ってさっさと逃げればよかったのかな。
だけど私には、それが出来なかった。
育ててもらった、感謝の気持ち?
放置子状態から救い出してもらった、恩?
情?
それとも単に、麻痺していた?
逃げだそうなんて、この時点では微塵も思わなかったのだ。
おかしいって思いながらもこれでこれまでの恩返しが出来ている様な、そんな感覚に近かったかもしれない。
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