10-3

その日も結局同じ様なやり取りをして、その後はしばらく裸でくっついていた。

イケなくても気持ちいいし、何よりこうしているのが幸せ。


申し訳なさそうな悠人くんを見るのが辛いだけで、私自身はイケなくても別によかった。

だから、しばらくしたらモヤモヤした気分はすぐに晴れた。



だけど、この日。


どういう流れだったか…裸のままベッドの中で話していたら、悠人くんがふざけて私の身体をまたあちこちいじり始めた。



「もう濡れとる…」



ニヤニヤしながらそう言って、敏感な部分をゆるく刺激し始めた。


最初はゆるい抵抗をしたりして、同じ様にふざけていた私。

だけどだんだん気持ちよくなって、声が漏れ始めた。



「え~?こんな触り方でそうなると?」


『ん…』



会話してる余裕なんてなくなって、返事の代わりみたいに喘ぎ声が漏れた。

悠人くんは黙って、いつもより優しい刺激を繰り返す。


そして、やがて私にこれまでとは違う快感の波がやって来た。



いつもより声が出てしまい、身体が少し仰け反った。


悠人くんがゆっくり、私の下着の中から手を抜いた。

息がすごく上がってて、心臓がドクドクいってる。



「もしかして、イッたと?」


『かもしれん…』



私がそう答えると、悠人くんはまた私の下着の中に手を突っ込んで、同じ場所に触れた。



『今せんで!!くすぐったいけんやめて!』


「気持ちよかったんやないと?笑」


『気持ちよかったけど今はだめ!笑』



私が半分本気で拒否したから、悠人くんは手を離した。



「イッたっちゃない?」


『うん…』


「今まで強く触り過ぎとったんかな」


『かな…』



悠人くんが、嬉しそうだった。

それが一番嬉しかった。

そしてもちろん、イケたことも嬉しかった。



成長出来ないままの心を置き去りにして、身体だけがどんどん大人になっていってた。

それでも自分では、身体だけじゃなく中身も大人に近づいてるってすっかり思い込んでいた。

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