08-3

店の手伝いと勉強との両立は、とても大変だった。


大変だったけど、今回はどちらも投げなかった。


何故なら叔母に、1教科でも100点が取れたら悠人くんに会いに行っていい、と言われていたからだ。



毎週の様に、何かしらテストがあった。


その中のどれでもいいから満点を取れば、店休日は丸一日、あの溜まり場にいられたから。


悠人くんの仕事が休みなら、悠人くんと丸一日一緒にいられたから。



2人で頑張ってお金貯めて、早く2人で住もうって約束した。


だから今はおとなしく、言うことを聞いていい子にしてる方がいい。


そう、悠人くんが言ったから。


だから、頑張れた。



そして、店の手伝いの方。


これは、お金のためだけに頑張った。


店に出たら、1日1500円もらえた。


時給にしたら、随分少ない。


それでも、これまでは買い出しのお釣りしかお小遣いらしきものがなかった私には、大事なお金。



毎日学校が終わると、楽しそうに寄り道の話をしてる同級生を尻目に、さっさと帰った。


みんな気楽で、幸せそうでいいね。


精神的にきつい時にはイライラして、怒りさえ込み上げてくることもあった。


なんで私だけ?

みんなはちゃんと家族がいて一緒に住んで、自由な時間がたくさんあるのに、なんで私は…


私の母親が、あの人じゃなかったなら。

早く、この家を出ることが出来たなら。



叔母だって私を引き取りたくて引き取ったわけじゃないのは、私にももう分かっていた。

だから早くここを出るのが、一番いい。


だけどそれには、手持ちが足りない。

だから現状を誰かのせいにして、その鬱憤を原動力にして、毎日を乗り切るしかなかった。

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