08-4

店休日と悠人くんの休みが重なった時は、前夜に店を出たその足で悠人くんに会いに行った。

携帯なんて持ってなかったし、会いに行った方が早い。



夕飯を作りに戻ることもあったけど、その時だけはほぼ丸一日一緒にいられる。


やりたい盛りの、健康な10代。

しかも、なかなか思う様には会えない。

会えば必ずそういう雰囲気になったし、そんな状況だから余計に気持ちが盛り上がった。


だけど、いつ誰がひょっこり現れるか分からない場所。

朝方になってみんなが帰って行くと、そこからがチャンスだった。



抱き合って、キスして。

口で、指で、お互いを愛撫し合う。


誰か来たらすぐに取り繕える様に、服は着たまま。

そんなスリルが、いつしか最高のスパイスになっていた気がする。



少しずつ出し合って、たまにホテルに行った。


普段押し殺しているいろんなものを、そこで解放する。

その時の私は、部屋の淫靡な雰囲気も手伝って、どんどん大胆になった。



挿入の気持ちよさは相変わらず分からなかったけど、指であちこちを触ってもらうのは気持ちよかった。


息が上がるだけだったのに、いつの間にか自然に声が出る様になった。

自分からこんな甘い声が出ることに、最初はビックリした。



私が声を出すと、悠人くんが喜ぶ。

だけど演技をするほどまでには、まだまだなれず…


それでも、セックスの気持ちよさを少しずつ覚えていった。



存分に愛し合ってしばらくしたら、お別れの時間。


髪も服も整えて、何事もなかった様な顔でうちに帰った。

見た目芋臭い私が、あんな場所であんなことをして来たなんて、誰も思わないだろうな…


そう思ったら、なんだかおかしかった。



真面目に学校に行って勉強して、家の手伝いをするいい子の仮面、再び。

でもその仮面を脱いだら私はきっと、同級生の中で誰よりも悪い子。


叔母に迷惑かけちゃいけないって、以前はあれだけ思っていたはずなのに。

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