07-3

逃げ込んだバスルーム。


頭からシャワーをぶっかけて、アメニティのよく分からないメーカーのシャンプーを掌に出して、もくもくと泡立てる。

うちで使ってるのとは、違う種類の匂い。

大人の匂い。


洗い流すお湯の音が、妙に大きく響く。



水に漬けたらムクムク大きくなったスポンジを、これまたよく分からないメーカーのボディソープでモコモコ泡立てた。


背中は洗えないから、しょうがなく小さいタオルを1枚犠牲にした。

悠人くんはどうやって洗ったんだろ…


なんでこんなちっこいスポンジしかないんやろ?

これじゃ、誰かに洗ってもらわなきゃいけんやん…



そう思って、ハッとした。


誰かに洗ってもらう…

そっか…大人は、2人で入ったりするのか。

洗ってもらうなら、こんなスポンジで大丈夫だよね…



改めて、バスルーム内をぐるりと見回す。

ガラス張りの、広いバスルーム。


姿だけじゃなく、考えてることまで誰かに見られている様な気がして、私は慌てて浴槽に身を沈めた。

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