06-6
家出してからは、本当に天国だった。
ただ、日々の買い出しのお釣りを地味に貯めていっただけのお金じゃ、生活費には全く足りない。
食事のお金は、悠人くん持ち。
よく考えたらあの溜まり場に住んでる以上、光熱費は溜まり場の家人持ち。
家賃を払ってるわけでもない。
だけど当時の私たちは子供過ぎて、お互い親や保護者から少し離れただけなのにすっかり自立した様な気分でいた。
好きな人と、眠る生活。
好きな人の帰りを待つ生活。
こんなに自由な気持ちで過ごしたのは、きっとこの時が生まれて初めてだった。
そしてこの時期に、私と悠人くんの関係は急速に進んだと思う。
初めてキスしたのは、みんなで花火をしたあの海岸で。
2人で、夜の散歩に出掛けた時だった。
冷たいお茶を飲みながら、ぬるい潮風を受けて2人で座っていた。
たわいない話をして、時々笑って。
そして、急にきた無言の時間。
いつもなら気にもしないのに、この時はドキドキした。
2人きりだし、真っ暗だし、周りには誰もいない。
唐突に、だけどゆっくり悠人くんの顔が近づいてきて、私はめちゃくちゃ緊張した。
きつく、目を閉じた。
…きつく閉じたのは目だけじゃなくて、唇もだったみたいで。
唇が離れたとたん、悠人くんが軽く吹き出した。
「力入りすぎ 笑」
キスした時の唇が柔らかいとか、絶対嘘!
そう思ったのは、自分の身体に力が入りすぎていたから。
そう気付いて、二度目は少し力を抜くことが出来た。
でも、それも束の間…
彼の手が、服の上からゆっくり私の胸に触れた。
唇を合わせたまま、されるがままだった。
全身の神経が、胸に集中したみたい…
気持ち良いのかどうかは、まだよくわからない。
ただ、暑さで汗ばんだ身体がどんどん熱くなるのが分かった。
そしてこれは、数日後に続きを迎えることになった。
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