06-4
箸が転がっただけでも笑う、なんて言われる思春期。
なのに最近の私は、お腹を抱えて笑うなんてことなかったな…
よく考えたらきっと、これが普通の中学生なんだよ。
私は今まで、真面目過ぎたんだ。
都合のいい解釈、かな。
いつもの、自分の居場所がないあの家での日常を忘れていた。
叔母の地味な嫌がらせも、意地悪な紗弥加のことも。
私とは関わりたくなさそうな叔父のことも、進路のことも。
全部、忘れられた。
そして、帰り道。
自宅にパラパラと帰って行くみんな。
だけど悠人くんは、いつものあの溜まり場に向かっている。
『悠人くんは、うちに帰らんと?』
「俺?俺あそこに住んどるっちゃん」
衝撃だった。
え?だって、あそこ自分ちじゃないやん。
自分ちは別にあるのに、なんで?
着替えとか洗濯とかお風呂とか、どうしとうと?
疑問に思ったことが、そのままどんどん口をついて出て来た。
悠人くんは私の驚きっぷりに笑いながら、その質問に答えてくれた。
悠人くんと別れ、自分の家にこっそり戻った。
叔母が帰って来るのは、いつも朝方。
それまでに戻れば大丈夫。
まだ真夜中。
戸締りや電気の消し忘れがないかをしっかりチェックして、私は急いで着替えて布団に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます