06-4

箸が転がっただけでも笑う、なんて言われる思春期。

なのに最近の私は、お腹を抱えて笑うなんてことなかったな…


よく考えたらきっと、これが普通の中学生なんだよ。

私は今まで、真面目過ぎたんだ。


都合のいい解釈、かな。



いつもの、自分の居場所がないあの家での日常を忘れていた。


叔母の地味な嫌がらせも、意地悪な紗弥加のことも。

私とは関わりたくなさそうな叔父のことも、進路のことも。

全部、忘れられた。







そして、帰り道。


自宅にパラパラと帰って行くみんな。

だけど悠人くんは、いつものあの溜まり場に向かっている。



『悠人くんは、うちに帰らんと?』


「俺?俺あそこに住んどるっちゃん」



衝撃だった。


え?だって、あそこ自分ちじゃないやん。

自分ちは別にあるのに、なんで?

着替えとか洗濯とかお風呂とか、どうしとうと?


疑問に思ったことが、そのままどんどん口をついて出て来た。


悠人くんは私の驚きっぷりに笑いながら、その質問に答えてくれた。






悠人くんと別れ、自分の家にこっそり戻った。


叔母が帰って来るのは、いつも朝方。

それまでに戻れば大丈夫。


まだ真夜中。

戸締りや電気の消し忘れがないかをしっかりチェックして、私は急いで着替えて布団に入った。

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