05-4

ある日朝方にいつもの溜まり場を訪ねると、たまたま彼が1人でうちにいた。

家の主が誰1人いないのに、他人が普通に居る状況。


だけど当時は、特におかしいとは思わなかった。

行けば、誰か居るのが常だったから。



『あれ?悠人くん1人?』


「うん」


『みんなは?』


「さっき帰ったばい」


『そっか~…』



私は少しガッカリした。

お小遣いが全くない私は、みんなが買ってくるお菓子やジュースにあやかっていたからだ。


かといって毎度手ブラでは顰蹙ものだから、家で叔母が置いて行くお金で夕飯の買い物をする時に、一緒にお菓子やジュースなどを少しずつこっそり買って…


それがある程度溜まったら、あたかも自分のお小遣いでさっき買って来た様な顔をして、ここに持って来たりしていた。



しかも持って行く時は、わざわざ家のレジ袋の山からセブンイレブンやローソンの袋を探して、それに入れ替えてからという、念の入れよう。

もちろん、値札シールを剥がすのも忘れなかった。



私がクシャクシャのコンビニ袋からあれこれ出していると、しばらくの沈黙。

悠人くんは普段からそう喋る方ではないから、私は特に気にも止めなかった。


そして、しばらくして突然悠人くんが言った。



「お前さ~俺の彼女になってくれんや?」


『…は?』



突然すぎて、意味不明。

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