05. 初めての彼氏

05-1

中3になっても、あまり状況は変わらず。

相変わらず成績は上がらず、家事に追われ自暴自棄になっていた。


とはいっても成績が上がらなかったのは家事のせいではなく、単に自分が怠けていたから。



周りは皆、当たり前の様に高校を受験する雰囲気。

入試に向けて、必死に頑張っている。


進学に力を入れてる学校だったから、模試や抜きうちテストも頻繁になって来た。

進学の予定も見込みもない私は、ただただウンザリするだけ。


考えれば分かる様な問題すら、考える気も起こらない。

わざとほぼ白紙で提出して、職員室に呼び出された時は『分からないものは答案を埋めようがない』と開き直った。



ちなみに中学を卒業した紗弥加は、結局フリーターになっていた。

美容師になると意気込んでいたのは何処へやら…カフェ店員になれたとかで、急にオシャレになっていた。


そんな紗弥加の様子もまた、何だか癪に障った。



進学もしない、出来ないのに、授業なんか受けてられるか。

ただでさえ勉強が億劫になっていた上、周りの雰囲気に対して生まれた、妙な反発心。


ついには、授業さえまともに受けない様になった。

嫌いな教科や先生がうるさい授業の時は、階段の踊り場でまた本を読む様になった。



私のいた中学校は、漫画やドラマの様に簡単には屋上に出ることは出来なかった。


だけどその手前…階段を上がりきった踊り場が、格好の隠れ家だった。

先生達も気付いていない訳がないのに、注意しに来ることもない。


そしてそこで、同じ様に授業をサボっていた子達と、自然と仲良くなった。

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