04. 不貞の子
04-1
しばらくして、叔母が店を始めた。
一度だけ叔母家族に連れられて行ったことがあるが、何も食べられずに私だけ、ひたすら配膳と客へのお酌をさせられた。
カウンターと、ボックス席がいくつかの小さな店。
叔母は酔って気分良く、ボックス席の客の隣で騒いでいる。
お酌したり客のタバコに火をつけたり、しなだれかかったり。
イタリアンダイニングだのイタリアンバールだの言っていたが、私にはスナックにしか見えなかった。
叔父は、普通のサラリーマン。
何処に、こんな資金があったのだろうか。
今思えば謎だけど、その小さい店も最初のうちは、顔馴染み客でそれなりに繁盛していた様だ。
生活が完全に夜型になってしまった叔母は、家のことをほとんどしなくなった。
紗弥加は遅くまで帰って来ないし、叔父はサラリーマン。
これまでは自分の身の周りだけで済んでいたが、この一家の家事は必然的に私の仕事になった。
朝起きて、朝食と叔父の弁当を作る。
学校へ行き、帰宅したら洗濯と掃除。
そしてバタバタと、夕食の支度。
叔父は食にあまり拘りがなかったのか、特に文句も言わず食べてくれていた。
そして今思えばだけど、叔母に比べたら私への態度は特別冷たくもなかった気がする。
というかきっと、あまり私に興味がなかったんだろう…
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