03-3
『本当に違う…』
「…なんでそんな嘘つくとかね…怒っとらんて言うとるとに…叔母ちゃんかわいがって来たつもりやけど…」
『…』
私はそれ以上、何も答えられなかった。
「いい子やと思っとったのに嘘つくなんて」
叔母はそう呟いて、つまんでいた汚れ物を持って庭に出た。
ドアの向こうで、ポリバケツの蓋を乱暴に閉める音がした。
考えても考えても、身に覚えがなかった。
寝ボケてやらかしたんだろうか?、とも考えたりした。
生理が来たことを言えなくて、隠していたのが、裏目に出てしまった。
初めて生理が来たとき、他の女の子は、親に自分から報告するのかな。
叔母がもし本当の母親だったら、素直に報告出来てたのかな。
母と一緒に住んでいたら、私は母に報告していたのかな。
ちゃんと報告していれば、こうやって疑われずに済んだのかな。
でも現実、私は母に捨てられて、叔母に拾われてここにいる。
叔母は叔母であって、本当の母親じゃない。
叔母がいくら可愛がってくれても、やっぱりいつも心のどこかに遠慮があった。
迷惑をかけちゃいけない。
心配をかけちゃいけない。
いい子でいなきゃいけない。
生理は当然悪いことではないし、健康な女性にはいつか必ず訪れるもの。
だけど思春期の私にとって生理なんて、汚いもの、わずらわしいものでしかなくて…
だから、言えなかった。
でもそれを言えなかったせいで、汚れた下着を隠していたなんていう濡衣を着せられてしまった。
結局は、自分のせいなんだなと思った。
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