03-2

中学2年のある日…あれは冬だったかな。


私は例によって、居間で本を読んでいた。

そうしたら、叔母が2階から降りて来て言った。




「里菜ちゃん…いつの間に生理来とったと?」




私の生理は、叔母の家に来てから始まった。


だけどそのことを、ずっと言えないでいた。

友達の中には、おばあちゃんが赤飯炊いてくれただの言ってた子もいたし、何だか恥ずかしくて言いづらかった。




『1年の時…』


「今までどうしとったと?」


『ゴミは包んで外のゴミ箱にその都度入れとった…』


「じゃあ、下着は?」


『お風呂の時とかに洗って、机の下に干しとった』




そう言う私を見て、叔母は微妙な顔をした。

そして、さっきから不自然に後ろに回していた手を前に突き出して言った。



「じゃあ、これ何?」


『え…?』


「なんで嘘をつくと?」




叔母の手には、経血で汚れてクシャクシャになった下着があった。




「どうして、嘘をつくと?」



叔母はもう一度、静かに言った。


叔母が持っているそれには、もう洗濯しても落ちないだろうなと一目で分かるくらいの、古い汚れがついていた。




『嘘やないし、こんなん私知らん…』


「知らんわけなかろ?さっき洗濯物を部屋に持って行ったら、タンスが開いとったとよ。ついでにしまっといてあげようと思って引き出し開けたら、これが出て来たとよ」


『でも私んとやない…』


「何言うね!あんたのタンスにあったとやから、あんたのやろ?」


『違う…』


「生理始まったのば言えんかったけん、洗濯物も出せんけん、どうしたらいいか分からんで隠しとったんやろ?」


『隠しとらん!ちゃんと洗っとった…』


「怒っとるんやないとよ?正直に言いなさい」



正直に言いなさいと言われても、身に覚えがないんだから違うと言うしかなかった。

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