02. 居候生活

02-1

叔母の家での生活が始まった。

私は中学生。



叔母には、私より1つ年上の娘がいた。

いとこであるその娘紗弥加とは、しばらく会っていなかった。


そして、叔母の家で生活する様になっても、なかなか紗弥加と顔を会わせることはなかった。

彼女は、いつも家に居なかったから…



叔母の家に来てから半月ほどして、紗弥加とたまたま顔を合わせた。

私は最初、紗弥加が誰だか解らなかった。


ほとんど金色の髪。


制服は着てるけど、スカートは履いてる意味があるのか疑問に思う程短い。

無駄に濃い化粧、細い眉。

長い前髪から覗く目は、何だか妙に鋭い。




「お母さん、お金頂戴」




叔母に向かって手を差し出し、顎を突き出してそう言う紗弥加を、私は信じられない思いで見ていた。



「またなん?もう…いつもいつも何に遣っとるっちゃろうね…」




眉をひそめながらも、叔母は紗弥加にあっさり小遣いを握らせる。

そして、紗弥加に言った。




「従姉妹の里菜ちゃん、覚えとう?今月からうちで暮らすことになったとよ」



急に紹介された私はドギマギしたが、とりあえず頭を下げた。




「ああ…覚えとう」




そう言って微妙な反応をした後、また家を出ようとしていた紗弥加が振り返った。


そして急に無邪気な顔で、私の腕をとった。




「里菜、お金もらったけんカラオケ行かん?」


『え?』



急すぎる誘いに戸惑っていると、叔母はニッコリ笑って手を振った。

そして私はそのまま、紗弥加に強引に手を引かれながら家を出た。

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