第15話

確かに秀ちゃんの言う通り食べられないことはない。



だけど、やっぱり美味しくはない。



それでも目の前に座った秀ちゃんはそれ以上、文句を言うこともなく、普通の顔をして黙々と食べている。



さっきまでのお説教がまるで嘘のよう。



何なら普通の会話も始まって和やかな空気が流れてる。



いいのかな……。これで……、と少しだけ疑問。



作り直すにしたって既にお皿は半分くらい空いちゃったけど。




「ごめんね」



「はい?なんで謝るの?」



「だって上手に出来なかったから」



「そこはもう、別にいいんじゃない?一応、この食材たちはキチンと本来の役目を果たせてるわけだし」



「そうだけど……」



「そもそも味なんてオマケで付いてくるものに過ぎないと俺は思うんだよね。 そりゃ美味しいに越したことはないよ? けどさ、彼らを摂取する本来の目的は栄養を体に取り入れることなわけだし」



「う、うん」



「確かに無様な姿と味にされた食材たちは可哀想だけど、本来の目的である栄養素としては大活躍が出来てるしね。そこはもう、彼らだって、しゃーなし梨子を許してくれると思う」




そもそも梨子がスーパーから救い出さなきゃ、廃棄される運命だったかも知れないんだから……と、秀ちゃんは落ち込む私に少しばかり大げさなフォローを入れてくれる。



剥げまそうとしてくれているらしい。



大丈夫だよ。平気平気と言いながら、ご飯を食べ続けている。

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