第12話

「はぁー。玲哉ってほんと子供だね」




少し薄暗くなった部屋の中。


半ば呆れつつ、シャツを羽織る。



その瞬間、背後から玲哉の手が伸びてきて、お腹を撫でた。


なぞるように、ゆっくり、意思を持って。




「しないの?」


「え?」


「さっきの続き」


「えぇっ⁉」




突然の誘いに思わず間抜けた声が出た。



驚きすぎて体が硬直。


それを見て玲哉はケラケラ笑う。




「やーい。引っ掛かった!」って悪戯をした子供みたいに私をおちょくりながら。




「ちょっと!からかわないでよ!」


「先にからかったのは千秋の方じゃん」


「あたしはからかってない」


「じゃあ、俺もからかってない」




ケラケラ笑いながら言う玲哉。


いや、実際はどっち…?なんて心がグラグラ揺れる。



でもまぁ、笑顔の玲哉から察するに多分冗談だ。



いつもの子供っぽい冗談。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る