第10話

「俺が脱がすの?」


「うん」


「なんで脱がすの?」


「だってほら、制服のまま寝たら皺になっちゃうし」




いかにも取ってつけたような理由を述べたあたしに玲哉は「ふーん」と一言だけ呟いた。



ボタンに指を引っ掛けて何か考え込むような顔をしている。



でもまぁ、直ぐに観念したらしい。


そのまま、あたしのシャツのボタンを外し始めた。



1個1個丁寧に。


目を逸らさずにじっと見つめたまま。




「いや、ちょ、」



まさか本気で脱がすと思ってなかったから内心焦る。


しかも何だか見られまくってて恥ずかしい。


やばい。早まった?



いや、でも、これを堪えれば何か進展があるはず。


玲哉だって内心ドキドキしているに違いないんだから。



今はまぁ、澄ました顔をしているけど、これからはあたしの事を女として意識しまくりなはず。


何かする度に照れまくりなはず。




「はい。これでいい?」


「は?」


「終わったよ」




しかし、あたしの予想はあっさりと外れ。


玲哉はあたしのシャツをさっさと脱がすと、役目は終わりだとでも言いたげに、ニッコリと微笑んで後ろの棚に置かれた薄手の毛布を取り出し始めた。

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