第13話

心にもないことを言ってしまった。



気の強い彼女が普段見せない涙を見せた。




「さようなら」




それからの私は脱け殻だった。



彼女がどう思っていようと私は今も好きなのだ。

だけどもう行方も知らない。

私はこれからの人生をただ生きているだけの屍として送るだろう。



あの恋を知って失ってから、

私の人生は急激に色褪せてしまった。





飛行機が急降下する。

目が醒める。




ドバイに着いたのだ。

一度来てみたいと思いつつなかなか来れなかった場所。



千夜一夜物語(アラビアンナイト)で知られる場所。



現代において最も輝かしい発展が約束されている近未来都市。



ドバイ。




私はここで一人の日本代表としてビジネスを進めようとしている。



観光だ。

この世界で一番魅力的な都市、

ドバイを沢山の人々に満喫してもらうため尽力する。

今はこの有意義な仕事にだけ意識を向けよう。



彼女のことを忘れるのだ。

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