第12話
ある時は高層ビルのhotelの一室で、
宝石箱のように煌めく夜景を見ながらwineを飲んで語り合ったこともあった。
「泰生、あなたって随分かっこつけなのね」
そう言いながら彼女もしっかり雰囲気に合わせてイブニングドレスを着ていた。
「愛してるわ泰生」
あれが唯一聞いた告白である。
雰囲気に飲まれて言っただけなのだろうか。
それからほんの少ししてお互いを知り始めた頃、
彼女のほんの些細な言葉から私たちの関係に終わりがくる。
「泰生。あなたはわたしとお金とどっちが大切なの?
あなたはいつも仕事があると言ってわたしを置き去りにしていくわ。
あなたを四六時中独占したいなんて言わない。せめてわたしといるときくらいはわたしだけを見て」
口論になった。
私は私の唯一持ち得たものを否定されたような気分になったのだ。
「君は私を、私の経済力を歌い手としてのステップアップに利用しようとしてるんじゃないのか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます