第11話

孤独。



私たちは、お互いのどうしようもない心の傷を埋めるために出逢ったのかもしれない。



運命という名を持つ女。

─destiny─




翌日から私たちの濃くて短い交際が始まった。


晴れた日に海沿いの道をドライブした。

オープンカーの助手席に彼女を乗せて。


私は爽快な気分だった。

いつも息が詰まりそうな部屋で机に向かっている私にとってこんな経験ははじめてだったのだ。



サングラスをして風になびく髪の毛をかきあげる彼女はさながら女優のようであり。



しかし、

彼女は言うのだ。



「あなたテレビに出たことない?」



「いや」



「おかしいわね。

テレビで日本人を見たのよ。アキハバラって所で街頭インタビューうけなかった?」



「いや。秋葉原には仕事で行ったことがあるけど街頭インタビューはうけなかった」



「ふうん。あなたみたいに眼鏡かけて重たそうな黒髪の色白の男性だったからてっきりそうだと。

わたし日本人の見分けがつかないのね」



私は少々複雑な気分になった。



彼女は、

皮肉屋である。

悪びれもしないところが可愛い。

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