第10話

彼女は後に、

私たちのことをロミオとジュリエットと言った。



─運命よ。

二人が出逢ったのはこれからわたしたちの物語を繋いでいくため─



そして悪戯っぽく笑う。

─パッピーエンドを希望するけどね─




そうだな。

二人の今まで生きてきた世界は、あまりに違いすぎた。




君の歌う詩には、

艶っぽさの奥底に漠然と根差す陰があった。


昔にいい思い出は何もないという。


だからこれから自分の手で未来を精一杯創っていくのだと。



「いつも孤独を選んできたわ。

さっきだってそうよ。

わたしは歌い手として愛されても、

仕事仲間には愛されない。それが現実。

そんな生き方をわたしは選んできたし、これからも選んでいくわ」



彼女は髪をかきあげてふと悲しい表情を魅せて自嘲した。



「でもね。ちょっといいと思わない?

皆の嫉妬を集めて、憎まれるの。

誰でもないわたしが皆の激しい感情を独占して浴びるのよ。

スーパースターみたいじゃない」



私たちには、共通点が一つだけあった。

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