第98話

そう思った瞬間、そんな千歳の気持ちなど関係なく、教師たちが一斉に歓声を上げた。


「ほら、見て」

「今だよ。ほら」

「世紀の一瞬だよ。見てごらん」


空を指さし叫んでいる。

何のことだろうと思ってみると、児童も教師もみんな黒く透けた板を空にかざして持っている。


みんなが見ているのは、太陽だ。

それで、千歳は分かった。日食を見ているのだ。


そうだ。

家を出るときに、父親が見ていたテレビ画面には、日食の二文字が躍っていた。

どこを映しても、日食の話題だった。

月が、太陽を喰らうのだ。


こちらに手招きしていた和菜も、今、この瞬間は月に食べられている太陽を見て、夢中になっている。

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