第97話

無残なランドセルを背に行き着く場所は、保健室だった。


先生が言っていたのだ。

こんな時は、保健室で休んでもいいと。

確か、古い記憶にそんな言葉があったと思った。


しかし、保健室に行き着くと、保健の先生は言った。

「ここに来れば、簡単にずる休みできると思ったの。そういうのは迷惑なの。ここは遊んでいいところなんかじゃないんだからね。教室に戻りなさい」

保健室は、かつて人で溢れていた。本当にずる休みする人間で。

保健の先生は、それにうんざりしていたのだろう。千歳に吐き捨てるように言ったのだった。


どこにも行くところがない。


行く先も分からず、彷徨い飛び出したのは、グラウンド。

家に帰るつもりでいたが、外に出てみると沢山の児童たちが集まって、空を見上げていた。


色んな学年の児童たちが外に出ていて、その中に五年生のクラスメート達もいた。


和菜がこちらに手招きしている。

でも今は、あの子と目を合わせたくない。

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